【働くならどっち?】大手出版社と中小出版社の違い

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編集者を志す若者の中には、大手出版社に何がなんでも入りたいという人が多いかと思います。かといって編集者になるなら中小出版社も視野に入れないといれません。

では、大手出版社と中小出版社は具体的にどこが違うのでしょうか?

零細出版社で10年間以上働くカイリーニがそれぞれの特徴を語りたいと思います。

目次

大手出版社・中小出版社・編集プロダクションの違い

まずは、大手と中小の特徴を分かりやすく表にして比較してみましょう。参考用に編集プロダクションも表に追加しておきます。

編集プロダクションについて詳しく知りたい人はこちらの記事をご覧ください。

大手中小編プロ
給与平均以上平均よりやや低い平均より低い
学歴大卒以上大卒が望ましい不問
労働量世間一般より忙しい大手より忙しい激務
出世非常に難しいそれなりに大変実力次第
編集部に
配属される
可能性
低い普通非常に高い
個人の裁量小さいそれなりにある大きい
入社難易度超高難易度高難易度難易度低め
教育システムしっかりしているある程度あるほとんどない

では、一つずつ詳しく解説していきます。

給与

早速、一番デリケートな部分に踏み込みます。政府等の調査による平均は出ていませんが、求人サイトによると以下の結果が出ています。

全世代平均417万円

出典:転職会議

中には独自調査でもっと高い平均を出しているところもありますが、斜陽産業かつ売り上げ部数が落ちている現状、リアルな数字だと日本人の世帯年収の中央値約437万円を下回るくらいのところかなと思います。

大手勤めの場合はもちろん、この金額よりも圧倒的に上です。編集長クラス、局長クラスになれば、1000万円台に到達する人も中にはいるでしょう。中小出版社の場合は、業務規模に左右されます。ある程度数の見込める医学系の出版社だったりすると平均よりもかなり上でしょうし、逆に売れないエンタメ系雑誌の場合は、平均より下回っている場合が多いでしょう。

給与面でさらに悲惨なのは編集プロダクション。中にはアルバイトと変わらぬ給与で働かされる場合も。下手すると平均年収が300万円にも届かない可能性があります。

大手や一部出版社が大きく平均を上げる形になっていますが、ボリュームゾーンは300~400万円。勤続年数によるベースアップ、役職手当、残業代が出て、ようやく世間一般と肩を並べられるというのが現状だと思います。

学歴

大手出版社は基本、新卒採用のみとなります。だから、有名大学卒業以上の学歴でないとエントリーすら通りません。中小に関しては、企業の方針によってまちまちです。規模が小さくなれば小さくなるほど、新卒を取る余裕がなくなるので、自然と学歴にそれほど拘らなくなるケースが多くなります。とはいえ、一般に知られているレベルの出版社だったら、大手と同じくらいの学歴を求められる場合がほとんど。上を目指したいなら学歴は必須です。

未経験者が出版社に入るならというテーマの記事も過去に書きましたので、気になる方はこちらをご覧ください。

労働量

編集者は一般的な企業よりも労働時間が長めです。大手といえども残業は必須。部署にもよりますが残業を覚悟しましょう。

中小は給与が少ないはずなのに大手よりも業務量よりも多く、忙しい印象です。

売り上げが減る→新しい施策を考える→それでもさらに減る…

この堂々巡りで、労働量だけが増えている企業もたくさんあります。斜陽産業の宿命なのでしょうか…。

それでも中小出版社のほとんどは、編プロの業務量にはかないません。正直、彼らは一体いつ寝ているんだろうと不安になる時があります。

出世

大手での出世は本当に大変。入社時点である程度のコースが決まっている上に、たくさんの同僚を蹴落として上に登らなければいけません。だから、出世コースを歩めるのはごく一部だけ。

中小も出世は難しいですが、大手に比べれば比較的簡単。基本的にある程度上までいくと実務には関われなくなることが多いから、そこは注意が必要です。

編集プロは完全実力主義の世界。実力さえあればすぐに部門長になることも可能です。しかも、実務にはずっと関わっていられます。

編集部に配属される可能性

そもそも、出版社に入社しても編集部に配属されるケースは稀。大手だと特にその傾向が強いです。希望を出したからといって、花形である編集部員になることは想像以上に難しいでしょう。

中小も大手に負けず劣らず難しいところもありますが、会社さえ選べば初めから編集部員を約束されている場合もあります。

編プロは基本、編集部員しか採用しないので、どうしても編集者になりたいという場合は選択肢に入れてもいいでしょう。

個人の裁量

大手だと新人の頃はほとんど裁量がないと思ってください。キャリアを積み、少しずつ認められて裁量が少しずつ大きくなっていく。初めのうちはいろいろと我慢が必要です。

中小に関しても、最初からすべてを任されることなどほとんどないので、しばらくは下積み期間が必要になってきます。とはいえ、大手と比べると裁量はそれなりあります。

編プロでは、即戦力になれるくらいの人ならすぐに大きな裁量を与えられるでしょう。人員が少ない分、新人の頃から良くも悪くも責任の大きい仕事と対峙することになると思います。

入社難易度

大手は間違いなく最難関の企業に入ります。編集者はいまだに新卒者のあこがれの的で、超高倍率の就活競争を戦わなくてはいけません。中小も大手に負けず劣らず高倍率のところが多いです。市場規模の縮小もそうですけど、これだけ人気だからこそ、低賃金労働がまかり通るんですね…。

上記2つに比べると編プロは比較的入りやすいでしょう。

先程も紹介しましたが、過去に編集未経験者の具体的な入社方法を解説していますので、気になる方はこちらをご覧ください。

教育システム

大手は教育システムがしっかりしています。編集の”へ”の字も知らない新卒採用で固めても編集部が成り立っているから当然といえば当然です。中小も大手と負けないくらい教育システムがしっかりしているところもあります。ただ、教育は他に任せてとにかく即戦力が欲しいという会社もあるので、企業のカラー次第です。

編プロは教育システムがしっかりしているというよりは、「現場で見て学べ」のスタンスのところが多いです。いわゆる、昔ながらの職人の世界ですね。編プロに限らず、専門職をメインとした制作会社は、職人気質な社風になりやすい傾向にあります。

あなたの目指す出版社は…

大手出版社、中小出版社、編集プロダクションの違いをまとめると

大手中小編プロ
給与平均以上平均よりやや低い平均より低い
学歴大卒以上大卒が望ましい不問
労働量世間一般より忙しい大手より忙しい激務
出世非常に難しいそれなりに大変実力次第
編集部に
配属される
可能性
低い普通非常に高い
個人の裁量小さいそれなりにある大きい
入社難易度超高難易度高難易度難易度低め
教育システムしっかりしているある程度あるほとんどない

働きやすさと給与面で比較すると、圧倒的に大手出版社がいいでしょう。ただし、編集部に配属されるかは確約されていません。

給与面は関係なく編集者になりたいなら、編集部員を募集している中小の出版社を目指すべきでしょう。中小に落ちても、どうしても編集者になることをあきらめられない場合は、編集プロダクションを視野に入れるのもありかと思います。もちろん、「どうしてもこの会社がいい」という強い意志あるなら別です。

ただ、紙に依存している出版業界は斜陽産業であるということだけは覚えてほしいと思います。多くの出版社は電子化の普及へ向けてさまざまな施策を行なっていますが、今のところ大きな成果を上げられていません。書籍や雑誌の売り上げが落ちて、会社の業績も落ちる…。この繰り返しから脱出できない出版業界。おそらく、これからさらに待遇も悪くなっていくでしょう。

大手にせよ、中小にせよ、編プロにせよ、出版業界では今、斜陽産業である現実を受け止めて新しい施策を打ち出せる、ガッツのある人材を求めています。出版社の編集者を志す若者は相応の覚悟を持って、この業界に入ってきてください!

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