編集プロダクションという名前は耳にするけど、何をしているところなのか、いまいち分からないですよね?
編集プロダクションは出版社から書籍や雑誌の制作を請け負う会社のこと。平たく言うと出版社の下請け企業です。大手と言えども自社社員だけで全ての書籍を作るのは不可能なので、編プロに実務をお願いします。
編集プロダクションには、具体的にどんな特徴があるのか解説していきたいと思います。
編集プロダクションの6つの特徴
編集プロダクションの特徴は以下の6つになります。
- 本作りのスペシャリスト集団
- 激務
- 少数精鋭
- 企業によってカラーがある
- 広告営業部門がないところが多い
- 制作した出版物は基本買取
それでは一つ一つ解説していきましょう。
本作りのスペシャリスト集団
実務を請け負うこともあり、本作りのスペシャリストが集まっています。専門学校を出た人間が編集者になったというケースは、編プロである可能性が高いです(たまに中小出版社に就職する人もいます)。
どこの部署に配属されるか分からない出版社とは違い、編プロに入ると現場に必ず関われます。本を作りたいと望む人には願ってもいない環境でしょう。
激務
「編集者ってキツイんでしょ?」って言われる原因の半分以上は編集プロダクションのせいだと思っています。冗談抜きにキツい。
同業他社の編集部員が一時期編集プロダクションの業務を経験したことがあり、詳しい話を聞いたところ、「編プロを経験すると出版社が天国のように思える。仕事量が倍くらいは違う」と言っていました。ちなみに、その会社は一般的に見ても激務に近い編集部だったので、編プロはそれ以上…。オソロシイ。
激務だからか離職率も高いですね。ただ、若いうちなら経験するのもありかもしれません。
少数精鋭
業界大手と言わるところでもせいぜい50人程度。基本的に少数精鋭で仕事を回します。このせいもあって、一人一人にかかる業務負荷が大変なことになっているんでしょう。
出版社と比べると、教育機能はほとんど働いていません。ただ、実地で学べるという点に関しては非常に優れています。センスがいい人ならば短期間で編集のイロハを先輩社員から学ぶことができるでしょう。
編集者として早く独立したいと思う人にとっては最良の環境になります。
企業によってカラーがある
専門書のみを取り扱うなど、編集プロダクションは会社のカラーをはっきりとさせているところが多いのも特色。もちろん、「何でも作ります」という会社もありますが、その会社ならではの強みがないと生き残れません。
あとは小規模の会社がほとんどなので、社長やオーナー次第で会社の雰囲気はガラッと変わります。
広告営業部門がないところが多い
基本的に広告営業は出版社に任せています。自分たちが行うのは制作だけというスタンスの会社が多いですね。広告営業部門がある会社は極めて稀。自分が以前お付き合いしていた会社だと、社長が直接営業に回ったりしているところもありました。
広告営業部門がないからこそ、編集プロダクションに入れば高確率で編集職に携われます。
制作した出版物は基本買取
基本的にすべての制作物は出版社から買い取りという形で納品します。だから、編プロで作られた出版物の権利はすべて版元のものになるのが普通です。これだけ聞くとデメリットだらけでは?と思うかもしれませんが、意外とそうでもありません。
商品の実売部数にかかわらずお金が入るから安定した収入が見込めます。実売が足りないと本を出しても赤字の可能性もありますから。ただし、売り上げは全く関係ないかというとそうではありません。実売部数が減れば休刊や続編が出ないので、編プロも売れる本作りを目指すことは出版社と同じ。どれだけ売れたかは非常に大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
まとめると、編集プロダクションの特徴は以下の6つ。
- 本作りのスペシャリスト集団
- 激務
- 少数精鋭
- 企業によってカラーがある
- 広告営業部門がないところが多い
- 制作した出版物は基本買取
とにかく実務経験を積みたいと考えている編集者は、編集プロダクションへの就職も選択肢の一つに入れてもいいと思います。
ただ個人的には、なるべく上流にいた方が出版ビジネス全体を見渡せるんじゃないかなと考えています。長い目で見て編集者として生き残りたいのであれば、小規模であっても出版社に入ることをおすすめします。
出版社と編集プロダクションを比較した記事があるので、よろしければこちらも参考にしてみてください。
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