雑誌媒体はどのようにして儲けを出しているのか、気になりますよね?
今回は、雑誌媒体がどのようにしてビジネスを成り立たせているかを解説していきたいと思います。
自分も「出版社に入る前はどうやって売上を上げているんだろう?近くの書店に行っても全然売れている感じがしないのに…」と考えていましたが、実際に入社してなるほどなと思いました。
これが分かると、なぜあの雑誌は全然売れていないように見えるのに無くならないんだろう?という疑問が解けると思います。また、メディア全般のビジネスモデルも似たような形式なので、世の中にあるメディアがどのようにして成り立っているのかも分かるようになります。
雑誌のビジネスモデルは5つ
結論からいきましょう。雑誌媒体の収益は全部で5つあります。
- 書店販売
- 定期購読
- 純広告
- 記事広告
- 関連メディア(ムック本・グッズ等)
それでは一つずつ解説していきましょう。
書店販売
雑誌ビジネスで真っ先に思い浮かぶのがこれ。ただ、書店での売り上げはマージンが取られるので実は全然儲かりません。
雑誌を書店に卸す場合は通常、取次店を経由して全国の書店に送られますが、取次店には10%前後、書店には20〜30%手数料を取られます。しかも買取販売ではなくて委託販売の形式なので、実売分しか売り上げが入ってきません。すごく売れ行きがいい雑誌でおそらく出版社の利益は実売部数の2割〜3割といったところ。返本率が高い雑誌だとほとんど利益がない可能性もあります。
最近はamazonなど、取次店を通さずに販売するケースも増えており、その場合は利益率が少しだけ高くなります。とは言っても全体の売れ行きでいうとまだまだ取次店経由の割合が大きいのが現状です。
定期購読
マージンがないため利益率が高め。雑誌本体を値下げするわけにはいかないので、各社いろいろな特典をつけて読者を囲い込もうとしています。
とはいえ、最近は行き過ぎたサービスが多すぎる気もします。半年購読分の料金で一年分の雑誌を届けますとか。明らかに行き過ぎたサービスを見ると、この雑誌全然売れていないんだろうなということが逆に分かります。
ちなみに最近は、書店売りよりも数を安定した数を見込めるため、定期購読を強化している出版社が増えてきています。
純広告
これぞ雑誌の利益の源。広告ビジネスがあって初めて出版社は成り立ちます。ざっくりいうと、雑誌を開いて記事以外に入っている全て純広告と言っても過言ではありません。カラーがモノクロか、裏表紙か頭のページか、場所によっても価格が違います。動画コンテンツやテレビだとCM、WEB媒体だとバナー広告などが純広告にあたります。
企業に広告を打ちたいと思わせるように出版社は雑誌のブランディングを強化した上で、書店売りと定期購読を伸ばして、より広告効果のある媒体だとクライアントにアピールします。
広告出稿はクライアントと直接やりとりするケースもあれば、広告代理店を通す場合もあります。大企業はもれなく代理店経由であるのが普通です。
記事広告
ここ数年の主流はこれ。ファッション誌、WEBメディアなど至る所で見掛けます。
記事風の広告を作って顧客を呼び込むセールスライティングなどは、記事広告でよく生かされるスキルです。
ただ、あくまでもセールスのための記事なので、こればかりだとメディア自体の価値が下がると言われます。そのため、編集部の独立性を守るために記事広告は別部隊に作らせ、メディア自体の価値と質をきちんと担保している媒体も。
記事広告だと判別できるようにADマークやスポンサードと付いているのが普通。記事広告を見分けられると雑誌を読むのがさらに面白くなると思いますよ。
この媒体記事広告だらけだ…とか、編集部で独自取材をしていて切り口が面白いな…とか、雑誌業界に入ってから、雑誌の読み方が変わりました!
関連メディア(ムック本・グッズ等)
雑誌のブランドを利用したいろいろなサービスでも収益を得ます。イベント、写真集、連載本、グッズなどが定番。最近だとYouTubeチャンネルに力を入れている媒体もあります(オリコン等)。版権絡みは当たると結構な額になりますから、各社いろいろな施策を練っています。
ちなみに関連メディア戦略で有名なのはKADOKAWA。メディアミックスを多数展開して時代の潮流を作りました。
関連メディアを売るためにも雑誌全体の実売部数とブランド力を高める努力は必須です。
まとめ
いかがでしょうか?
まとめると雑誌の収入源は
- 書店販売
- 定期購読
- 純広告
- 記事広告
- 関連メディア(ムック本・グッズ等)
の5つ。
時代とともに比率は少しずつ変わりますが、この5つがなくなることはないでしょう。もし何かに置き換わったとしたら、それは業界全体が大きな変革を迎える時かもしれません。
電子化へなかなかうまく移行できない雑誌の世界。企業の広告費も“紙からWEBへ”という形が主流になりつつあります。これからどうなっていくのか…皆さんも動向を見守ってください。
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