読みやすい文章ってなかなか書けないですよね。かといって基礎から勉強するには時間がかかるし、なかなか効果が現れません。僕も新人時代、できるならすぐに実践できる簡単なコツを教えてほしいと思っていました。
そこで今回は、大小合わせて2000記事以上書いた自分が発見した「これさえ意識すれば読みやすい文章が書けるようになるコツ」をお伝えします。どれも簡単な上に、意識して改善するだけで格段に文章が読みやすくなります。ぜひ実践してみてください。
読みやすい文章とは…
「そもそも読みやすい文章とは何だ?」という人がいるかもしれませんので、読みやすい文章の定義から解説しましょう。読みやすい文章とはズバリ「構造に破綻がなく情報も整理されている文」のこと。
個人差はあると思いますが、一般的に上記のような文章を目にすると人は「読みやすい」と感じます。
とはいえ、定義を知っているだけでは読みやすい文章は書けません。以下の15のコツをマスターすることで、構造に破綻がなく情報も整理されている文を簡単に書けるようになります。
読みやすい文章を書く15のコツ
それでは、読みやすい文章を書くコツを具体的に解説していきます。
- 複雑な複文をできるだけ避ける
- 余計な修飾語を削る
- 主語&視点をなるべく変えない
- 表記を統一する
- 主語と述語のねじれをなくす
- 体言止めを多用しない
- 読点を効果的に使う
- 語尾のバリエーションを増やす
- 文体を統一する
- 目的語と動詞の位置をなるべく近づける
- 不要な接続詞を削る
- 指示代名詞に頼りすぎない
- 難しい表現を使わない
- 音読をする
- 同じ助詞の連続利用を避ける
それでは一つずつ解説していきましょう。
複雑な複文をできるだけ避ける
複文とは、主語と述語の構造が2つ以上あり、それぞれ対等の関係にない文のことを指します。文章に慣れないうちは、できるだけ文章を区切って単文にしましょう。
例えば以下の文。
上と下、どちらが読みやすい文でしょうか? 文体の好みは別にして圧倒的に下の方が読みやすいと思います。上の文章は主語と述語が2つ以上ある複文。下の文章は複文をすべて単文に変えたもの。上の文章は主語と述語が複数あるので、理解するのに時間がかかります。
色分けして示したように、一つの文の中に主語と述語の関係が4つも入っています。「複文を絶対に避けないとダメ」とまでは言いませんが、初心者のうちはできるだけ単文にする箇所を増やしましょう。
一概には言えませんが、1つの複文の中に存在する主語と述語の関係は、3つまで(できれば2つまで)に収めるのがベター。複文を効果的に使えば、先ほどの例文も以下の2つのようにすっきりまとめられます。
ラインを引いた部分が複文で、1つ目は複文+複文、2つ目は単文+複文+単文の組み合わせです。いずれにしろ、主語と述語の関係は2つ以内に収まっているのが分かると思います。
ちなみに、ライトノベル等ではやっているタイトルは複文のケースが多いです。
ブラック企業に10年以上勤務している俺が、異世界に転生して無双する。
上記は
俺はブラック企業に10年勤務している。その俺が異世界に転送して無双する。
という形に書き換えられる複文です。
複文をうまく使いこなせるようになれば格好いい文章になりますが、初めのうちはなかなかうまくいきません。慣れるまでは文章をなるべく短く切りましょう。
複文を複雑だと思わせずにスラスラ読ませる技術があるということは、文章力が高いことの証明にもなります。
先ほどの例文だと、「いなかったので」を「おらず」に変えると読みやすくなります。
演歌は日本の伝統音楽として知られているが、初期の頃は演歌とは呼ばれておらずいなかったので、昔の音楽番組では流行歌として紹介されていたから、演歌歌手という名称に違和感を持つアーティストは今もたくさんいる。
複雑な複文の場合、情報の置き方、言葉のつなぎ方をどう整えるかが非常に大切です。そこまでの文章力がないようなら、複文に頼り過ぎず、なるべく単文に置き換える方法を試してみてください。
余計な修飾語を削る
文章を長くする原因の一つが修飾語。詰め込めば詰め込むほど読みにくい文章になります。思いを伝えたいのは分かりますが、なるべく減らしましょう。
例えば余計な修飾語が入った文章というのは、このような形の文。
上記の文章の修飾語に線を引いてみます。
強い思いは伝わりますが、修飾語が多すぎて読みにくいですよね。
上記くらい修飾語を削って文章をスッキリさせましょう。ただし、味気ない文章になってしまうので削りすぎには注意が必要です。
主語&視点をなるべく変えない
長文を書く際は、なるべく主語&視点を変えないようにしましょう。1文ごとに主語や視点を変えると読みにくい文章になります。
ジローは世界的に有名なテニス選手の一人です。僕は彼のプレーを見るのが大好き。どんな時でも懸命にボールを追いかけます。学生時代、僕は彼のプレーをよく真似していました。テニスファンの中には、その姿がたまらないという人もたくさんいるでしょう。
ジローは有名なテニス選手の一人です。どんな時でも懸命にボールを追いかけます。テニスファンの中には、その姿がたまらないという人もたくさんいるでしょう。僕も彼のプレーを見るのが大好きです。学生時代、彼のプレーをよく真似していました。
微妙な違いかもしれませんが、下の文章の方が主語の入れ替えが少ない分、主語を省略できる上に読みやすくなっているかと思います。
やむなく変える場合は、なるべく主語を明示するように意識してみてください。主語を省略すると文章が読みにくくなります。
表記を統一する
同じ言葉なのに漢字とひらがなとカタカナが混在していると、非常に読みにくい文章になります。記事内で表記を統一しましょう。
この短い文でも効果が分かるくらい、下の方が読みやすいかと思います。今回紹介している中でも一番簡単な方法なので、すぐに実践してみましょう。表記で迷った時は、業界人御用達の記者ハンドブックを使ってみてください。この本に従えば、漢字・ひらがな・カタカナをバランスよく配置できます。
主語と述語のねじれをなくす
ねじれとは、主語(主部)と述語(述部)が対応していない状態のことを言います。
私はウサギを飼われています。
これがいわゆるねじれの文章で、主語と述語の関係性に誤りがあります。
正しくは
or
例文を書いていてこんなこというのも何ですが、単文だとほとんど起こりません。ただ、重文・複文の場合はよく起こるから注意が必要です。必ず主語と述語を一致させましょう。例えば次の文章。
黄色のマーカーの主部と述部がねじれています。正しい文章にするなら以下の形が正解。
このように、長文の時は混乱しやすいので注意が必要です。ねじれかどうかよく分からないと感じたら、主部と述部だけを読んで意味が通じるかどうかを確認してみてください。意味が通じる場合は、ねじれが発生していません。
体言止めを多用しない
体言止めとは、名詞や代名詞等、体言で語尾を止める表現法のこと。
上記の文章には全て体言止めが使われています。小説ではよく使われる手法で、割と簡単に文章が格好よくなる魔法の表現法の一つです。ただし、使いすぎると文章の意図が伝わりにくくなります。なぜかというと、体言止めは本来ある文章を省略して、読み手に考えさせて余韻を残す表現法だから。
老若男女問わず簡単に始められる健康法として、ここ数年ブームになっているラジオ体操。今回はその魅力をご紹介。運動不足に悩むビジネスパーソンには必見の内容。
上記は全て体言止めで書いた文章ですが、すごく読みにくいですよね。上記の文章に本来省略した意味をきちんと書くとこうなります。
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格好よさを別にして、こちらの方が圧倒的に読みやすいはずです。基本的に、初心者のうちは体言止めの乱用はNGだと考えてください。仮にこの文章で使うとしたら、以下の2パターンがベタ―。
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読みやすい文章を書きたいなら、体言止めの乱用を控えましょう。
読点を効果的に使う
読点とは「、」のこと。使用するには一定のルールがあります。
いろいろな使い方がありますが、初心者のうちは基本的に以下の3つの使い方を覚えておけばOK。
- 語句の列記
-
豚の生姜焼きの材料は豚肉、ショウガ、しょうゆ、みりんです。
- 誤読・難読防止
-
スポーツ推進委員協議会会長、佐藤正さんにお話を伺いました。
昨日の朝、顔を出してくれたのは君だったのか。
- 文章の切れ目
-
彼女はシャワーを浴びた後、ベッドで寝てしまった。
文章を読みやすくするために読点は必須。多過ぎてもダメだし、少な過ぎてもダメ。自分がいいなと思う文章でどのように読点が使われているかを研究して、適度に使いましょう。
語尾のバリエーションを増やす
語尾のバリエーションが少ないと文章が単調になります。
語尾が全部同じだと読みにくいですし、どこか稚拙な感じがしますよね。 一方、下記のように語尾を工夫すると同じ文章でもガラッと雰囲気が変わります。
〜です、〜ます、〜だ、〜しょう等、同じ種類の語尾が連続しないように気を付けましょう。
文体を統一する
ですます調、である調など、文体を混在させると読みにくくなります。まずは文体を混ぜたダメな例を見てみましょう。
ですます調とである調が混在していて非常に読みづらいと思います。統一するからといって、同じ口調が続くとどうなってしまうのでしょうか。
私の趣味はサッカー観戦です。特に好きなのはプレミアリーグです。長年応援しているチームはアーセナルです。富安健洋選手がチームに加入してから好調なので、今年こそは優勝してほしいです。
ですます調に統一しましたが、いかがでしょうか? 小学生の作文みたいなクオリティーですよね。単調さを回避するためには、語尾にバリエーションを出しましょう。~ですだけでなく、体言止め、います、ですねを使用した文章がこちら。
おそらくこちらの方が読みやすいかと思います。読みやすい文章を書きたいならば、文体を統一しつつ、単調にならないように気を付けましょう。
目的語と動詞の位置をなるべく近づける
こちらは少し高度なコツになります。学校の国語教育の中で、目的語はなく連用修飾語の一つだと習っているはずですが、日本語にも目的語があるという意識を持って語句を扱うと、読みやすい文章になります。
上記の3つの例文、微妙な差かもしれませんが、おそらく下2つが読みやすいと思います。なぜかというと目的語と動詞の位置が近いから。
例文の目的語に黄色のマーカー、動詞に赤のマーカーを引いてみました。日本語は語句の順番を入れ替えても意味の通じる言語なので、どういう順番で語句を置くか意識していない人が多いかと思います。そんな時は、目的語(~を、連用修飾語)を動詞(被修飾語)の近くに置くことを心掛けると、読みやすい文章になります。
目的語と動詞を近づけると読みやすくなる理由は、語句の強調したい箇所が明確になるから。日本語は語順によって強調したい場所が変わる性質を持った言葉だから、こういう現象が起こります。読みやすい文章を書きたいなら、目的語と動詞の位置をなるべく近づけるよう意識しましょう。
不要な接続詞を削る
必要不可欠な場合を除いて、接続詞をなるべく削りましょう。接続詞は前文との関係性をクリアにするのに効果的な品詞ですが、使い過ぎは禁物。多用してしまう時は、接続詞がなくても伝わる文になるよう、文章構造そのものの見直しが必要です。
カレーの材料をご紹介します。まずは豚肉、次にニンジン、そしてジャガイモ、最後に玉ねぎ。
カレーの材料をご紹介します。豚肉、ニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ。
こういうふうに接続詞を使う人は少ないかもしれませんが、接続詞を減らすことで圧倒的に文章が読みやすくなります。以下の文章はどうでしょう?
おそらく、これだけあると接続詞を余分に感じるかと思います。上記の文章の接続詞をすべて省いたものが以下の文。
正直、これくらいの長さだったら接続詞に頼らなくても十分意味は伝わります。無いと意味が通じないケースを除いて、接続詞はなるべく削るように心掛けましょう。
指示代名詞に頼りすぎない
指示代名詞は非常に便利な言葉ですが、乱用すると読みにくくなります。なるべく使わないように意識しましょう。
指示代名詞とは「これ」「それ」「あれ」「どれ」などの、事物・場所・方角を指す言葉。「その人」「この花」など、名詞の前に付くことにより前述した特定の名詞を表すこともできます。
例えば以下のような文。
この文章は指示代名詞を削り、別の言葉で置き換える形でも成り立ちます。
指示代名詞を減らして類義語と類似表現に置き換えると読みやすくなってスッキリとした印象を受けるかと思います。指示代名詞に頼らない文を書くことは、文章力アップのトレーニングとしても効果的です。もちろん、主語や同じ語句を繰り返し使うのを避けるために指示代名詞を使うこともあるので、全部取ってしまうのも問題があります。
あくまでも大切なのは、指示代名詞に頼りすぎないことですので、削りすぎには注意してください。
難しい表現を使わない
専門用語や難しい表現が続くと文章が読みにくくなります。
例えば以下のような文。
ジャズギタリストのジョン・スコフィールドのアドリブは、オルタードドミナント上で展開するコンディミを引用したフレーズに特徴がある。スケールアウトする際にコンディミを多用しているのも、彼の魅力の一つだろう。
恐らくこの文章、ジャズ理論を習っているプレイヤーならば意味が通じるかもしれませんが、オルタードドミナント、コンディミなど、専門用語が多すぎて知識のある人以外理解できません。読みやすい文章を作りたいならば、なるべく分かりやすい表現に置き換えましょう。
音読をする
音読は、読みやすい文章を書けたか確認するのに効果的な方法です。小学生の頃から学校教育で何度も行っていると思いますが、その効果は絶大です。学生に戻ったつもりで声に出して文章を読み直してみましょう。
音読でつまるor読み聞かせをした時に意味が通じない文章には、文の構造に欠陥がある可能性が高いです。
特に、読点の位置を確認するのには効果的な手段だと思います。
同じ助詞の連続使用を避ける
てにをは等、同じ助詞を続けて使うと文章のリズムが崩れて、読みにくくなります。
上と下の文章どちらが読みやすいでしょうか? おそらく下の文章の方が圧倒的に読みやすいでしょう。下の文章は、同じ助詞をなるべく使わずに書いた文章です。このように、時に言い回しを変えて助詞の連続使用を避けましょう。難しい場合は読点や「」を使い、同じ助詞が続かないように文章をうまく区切ってみてください。
まとめ
今回は読みやすい文章を書くコツを15個紹介しました。
- 複雑な複文をできるだけ避ける
- 余計な修飾語を削る
- 主語&視点をなるべく変えない
- 表記を統一する
- 主語と述語のねじれをなくす
- 体言止めを多用しない
- 読点を効果的に使う
- 語尾のバリエーションを増やす
- 文体を統一する
- 目的語と動詞の位置をなるべく近づける
- 不要な接続詞を削る
- 指示代名詞に頼りすぎない
- 難しい表現を使わない
- 音読をする
- 同じ助詞の連続利用を避ける
読みやすい文章が書けなくて悩んでいる人は、上記のことをぜひ試してみてください。
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