普段何気なく目にしているインタビュー記事。よく読むとある程度書き方が決まっていることをご存じでしょうか? 結論から言うと対話形式(Q&A)、モノローグ形式(一人称)、ルポ形式(三人称)という3種類のフォーマットがあります。
今回は、この3種類の特徴を説明します。「インタビュー記事を任されたけど、どう書いていいか分からない」というライターには必見の内容なので、最後までお読みください。
インタビュー記事の書き方
さて、先ほども述べた通り、インタビュー記事には以下の3通りの書き方があります。
- 対話形式(Q&A)
- モノローグ形式(一人称)
- ルポ形式(三人称)
どんなに凝った書き方をしたとしても、必ず上記の3種類のフォーマットどれかに当てはまります。それでは次から具体例も交えて、それぞれのメリット・デメリット、どのような場合に向いているかを解説していきます。
対話形式(Q&A)
対話形式とはインタビュアー(聴き手)とインタビュイー(話し手)の対話を載せる書き方のこと。
—— 佐藤聡さんは今年、大阪芸術大学の客員教授に就任されました。改めておめでとうございます。
佐藤 ありがとうございます。まともな教育を受けてこなかった自分が、まさかこういう形でオファーを頂けるとは思ってもいませんでした。「教授」って呼ばれるのはいまだに慣れません(笑)。
—— 初回の講義はいつ頃行われたのでしょうか?
佐藤 2週間前に。講義というほど立派なものじゃないですけど、作品づくりに対するこだわりを語りましたね。
—— 先程何人かの生徒さんにお話を伺ったところ「佐藤教授のお話は実践的で非常に勉強になる」と好評でした。
佐藤 本当ですか? 誰が言ったんだろう……うれしいな。
—— 木村恭吾先生の新作「編集マン」は、新人の漫画編集者の日常を描いた作品です。「編集マン」を書こうと思ったきっかけを教えてください。
木村 僕の担当の編集さんが「勉強のために」と、仕事場に新入社員を連れてきたんですよ。その子の行動や考え方が面白くて。これを作品にしたらいけるんじゃないかなと思い、書いた次第です。
—— 先生の作品のモデルになった方はうれしいでしょうね。
木村 初めは恥ずかしがっていたんですよ。担当の編集さんを味方付けて半ば強引な形でしたが、ちゃんと事前に許可を得ました(笑)。
上記のように1問1答の会話形式で記事を構成します。この形式のメリットは、主に以下の3つ。
- 臨場感を出しやすい
- 1対1だけではなく複数人数の座談会にも対応できる
- 実際の取材と同じような形なので初心者でも書きやすい
インタビュアーとインタビュイーの会話形式なので、最悪インタビューの内容をそのまま書けば記事が出来上がります。ライター初心者でも書きやすい形式の一つでしょう。
「初心者向けで書きやすいならいいこと尽くめじゃん」と思う人もいるかもしれません。しかしながら、メリットだけではなくデメリットもあります。デメリットは主に以下の2つ。
- 文章が長くなりやすい
- 地の文がないため、会話内で説明臭くなる場面が出てくる
実際に文章を書いてみれば分かると思いますが、会話メインで話を進めようとするとどうしても文字量が多くなってしまいます。また、説明ぜりふを入れる必要もあるので、わざとらしい感じになってしまうことを避けられません。
デメリットを踏まえて、書く際には、以下の3つのことに注意するといいと思います。
- インタビュアーが出しゃばりすぎない
- そっけない質問を無くす
- インタビュアーとインタビュイーの会話を意識する
コンテンツのメインはあくまでもインタビュイーだから、インタビュアーの立ち位置をうまく考えて原稿を作りましょう。個人的には、取っつきやすいけど、突き詰めると奥が深い…それが対話形式のインタビュー記事だと思っています。世の中に出回っているインタビューコンテンツもこの形式が一番多いので、インタビューライターになりたいのなら、まずはこの形式を書けるようになりましょう。
- インタビュー現場の空気感を届けたい
- 複数人数の座談会
- ライトに読ませたい
- インタビュアーとの会話を大切にしたい
- 文字量をできるだけ少なくしたい
モノローグ形式(一人称)
モノローグ形式とはインタビュイーの一人語り形式のこと。インタビュアーの存在を完全に消して一人で話している形に落とし込みます。
今年、大阪芸術大学の客員教授に就任した佐藤聡です。まともな教育を受けてこなかった自分がこういう形でオファーを頂けるとは思ってもいませんでした。「教授」って呼ばれるのはいまだに慣れません(笑)。
2週間前、生徒の前に初めて講義を行い、作品づくりに対するこだわりを語りました。とは言っても、“講義”といえるほど立派なものではないですが(笑)。人伝に聞いた話ですけど「実戦的で勉強になる」と言ってくれた生徒も何人かいたとか。うれしいですね。
今僕が書いている新作漫画は「編集マン」。新人漫画編集者の日常を描いた物語です。この作品を書こうと思ったきっかけは、担当編集さんが「勉強のために」と、僕の仕事場に新入社員を連れてきたこと。その子の行動や考え方がすごく面白くて、これ作品にしたらいけるんじゃないかな……と。もちろん、作る前にモチーフになった子にはちゃんと許可を得ましたよ。初めは恥ずかしがっていましたけど、担当の編集さんも味方に付けて半ば強引に(笑)。
上記のようにインタビューした内容を一人語りの形に仕上げます。この形式を選ぶ主なメリットは2つ。
- インタビュイーの声を読み手にダイレクトに届けやすい
- 文字量が少なくて済む
インタビュイー本人の言葉しか載せないので、文字数が少ない上に、よりダイレクトなメッセージを読者に届けられます。一方、デメリットとしては以下の3つが挙げられます。
- 記事をまとめるのが難しい
- 語尾が単調になりやすい
- 地の文がないため、会話内で説明臭くなる場面が出てくる
ちなみに、ブログ記事では基本的にモノローグ形式を採用しています。実際に書いている人なら分かると思いますが、一人語りを文章だけで読ませるのは結構難しい…。だからブロガーはみんな装飾をしたり、吹き出しを使い疑似的に対話形式を生み出したりして、読みやすいコンテンツを作るよう必死になっています。ブログ記事ならいくらでも逃げ方がありますが、プロのライターなら装飾に頼らず、一人語りでも読ませる文章を作れるようになりましょう。
- インタビュイーの言葉をダイレクトに伝えたい
- コラム・エッセイ風に仕上げたい
- 文字数をできるだけ減らしたい
- インタビュー現場の空気感を届けたい
- インタビュアーとの会話を生かしたい
- 複数人数の座談会
ルポ形式(三人称)
ルポ形式とは地の文を入れて、第三者の目線から書く形式のこと。
佐藤聡が今年、大阪芸術大学の客員教授に就任した。「まともな教育を受けてこなかった自分にオファーが来るとは……驚きです。『教授』と呼ばれるのはいまだに慣れませんね(笑)」。佐藤は2週間前、初めて教壇に立ち、生徒の前で自身の作品づくりへのこだわりを語った。「“講義”と言えるほど立派なものではありませんけど(笑)」。
木村恭吾が新作「編集マン」を発表した。「編集マン」は新人漫画編集者の日常を描いた作品。作品を書こうと思ったきっかけは、木村いわく「担当編集さんが『勉強のために』と、僕の仕事場に新入社員を連れてきたこと」だそう。「その子の行動や考え方がすごく面白くて、これ作品にしたらいけるんじゃないか……と。もちろん、作る前にモチーフになった子にはちゃんと許可を得ましたよ。初めは恥ずかしがっていましたけど、担当の編集さんも味方に付けて半ば強引に(笑)」。
地の文にどれだけ主観を反映させるかは著者のさじ加減次第。ちなみに、新聞のニュース記事などはルポ形式で書くケースが多いです。
ルポ形式の主なメリットとデメリットは以下の通りです。
- 地の文を書けるため説明をしやすい
- 記事に論理性・客観性を持たせられる
- 読ませる文章を書くのが難しい
- 構成が難しい
- 堅い文章になりやすい
- インタビュイーの声を多く反映できない
ルポ形式の文章は、新聞各社や報道機関の記事で多く採用されているということもあり、堅めの文章かつシステマチックに書くのに向いています。また、少し凝った論理性と客観性のある「読ませる文」を書きたいときにも、この形式を使います。ただし、読ませる文章を書くには、話し手と書き手の距離感、論理性や客観性を持たせるための話の流れの作り方など、書き手の文章力が必須。レポート風の記事に仕上げたい時も、ルポ形式を採用することが多いです。
- 記事に論理性や客観性を持たせたい
- できる限りシステマチックに文章を書きたい
- 地の文で説明をたくさん入れたい
- 読ませる文章を書きたい
- インタビュイーの言葉をたくさん書きたい
- 柔らかめの文章にしたい(書き手の力量があれば可能)
まとめ
まとめるとインタビュー記事には以下の3種類の形式があります。
- 対話形式(Q&A)
- モノローグ形式(一人称)
- ルポ形式(三人称)
ライターはクライアントの要望やコーナーのテイストに合わせて各形式を使いながら、インタビュー記事を書いています。ライターを目指すのであれば、まずはこの3種類の書き方があることを覚えましょう。書く際のさらに詳しいコツについては、また別の機会に解説していきます。
3つの形式全てに共通する読みやすい文章を書くコツは、過去に解説していますので、よろしければこちらの記事もご覧ください。
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